
ゾンビ退治の本質は何か~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』
日銀の植田和男総裁が4月19日に米ワシントンで講演し、基調的に物価が上昇し続ければ「追加利上げの可能性が非常に高い」と強調した。
日本経済がデフレを続けるなかで、さらなる金融引き締めなどしたら、景気の失速は確実だ。
ところが経済団体からは、金融引き締めに反対する声はほとんどなく、それどころかこれを評価する声が続出している。
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アベノミクスの異次元金融緩和で温存されてきたゾンビ企業を金融引き締めで整理し、成長産業へ資源を集中すべきだというのである。
しかし、上武大学の田中秀臣教授は、そうした考えは、事実認識が根本から間違っていると主張している。
ゾンビ企業を赤字企業と定義するなら、金融引き締めはゾンビ企業を増やすことにつながり、ゾンビ企業を減らそうと思ったら、金融緩和をしないといけない。
実際、アベノミクスの金融緩和で、ゾンビ企業は減少した。金融緩和に伴う景気の改善で、企業が黒字化したからだという。
つまり、日銀がいまやろうとしている金融政策は、普通の黒字企業を赤字転落させ、破綻に追い込む政策だということができる。
なぜ財界は、そんな政策を支持するのだろうか。
経済強者が経済弱者を踏み台に…
私は、資金面で余力のある大企業が中小企業を飲み込む「成長戦略」を描いているのだと考えている。運転資金を銀行借り入れに頼る中小企業は、利上げに弱い。利上げで経営が破綻すれば、中小企業が抱えてきたマーケットや店舗を大企業は二束三文で手に入れることができる。
これは、決して妄想ではない。いまから100年近く前、濱口雄幸内閣の金融・財政同時引き締めでもたらされた昭和恐慌の際に、実際に起きた事態だ。
大企業にとって「ゾンビ退治」をすることは、もう一つメリットがある。それは、経営破綻した中小企業に勤務していた従業員が失業者として放り出されることだ。
財界の主張では、そうした労働者はリスキリングを受けて、より高付加価値の産業に移動できるとしている。
しかし冷静に考えれば、普通のサラリーマンが、短期間の研修で半導体や人工知能、宇宙開発といった分野の技術者に転身できるはずがないことは明らかだろう。
結局、彼らは生きるために大幅な賃金低下を受け入れて、非正社員の仕事をせざるを得なくなる。
比較的質が高く、いつでもクビを切れる低賃金労働者が大量供給される事態は、人手不足に悩む大企業にとって願ってもない展開なのだ。
こうした状況は、不動産市場でも起きる。東京23区の新築マンションは、いまや1億円を超えるところまで高騰している。
マンション購入者は、少しでも返済を抑えようと変動金利で住宅ローンを借りている。ここに金利上昇が訪れると、ローン返済を続けられない人が続出する。
当然、マンションの売却をせざるを得なくなるが、大量の売り注文が重なれば、価格は暴落する。経済強者は、二束三文になった不動産を買い占めて、一気に資産を拡大する。
その一方で、住宅ローン返済に窮したマンション購入者は家を失い、売却で穴埋めのできなかった残債の返済に一生追われる人生になる。
経済強者が経済弱者を踏み台にすることで、ますます太っていく。なぜそんな冷酷な政策に、国民は抵抗の姿勢をみせないのだろうか。
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