岸田首相が突き進む「6月解散」自公維連立の本気度
「これでは3戦全敗じゃないか」
3月下旬、首相官邸執務室の岸田文雄首相の下に〝政局の天王山〟となる4月28日投開票の衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3つの補欠選挙のうち、東京15区の情勢調査結果が届けられた。
それを見た首相は、うなるような声で冒頭の言葉を発したとされる。
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長崎3区は不戦敗で、島根1区も野党に引き離される中、東京15区に地域政党「都民ファーストの会」を率いる小池百合子都知事が、作家の乙武洋匡氏の擁立を進めているとの情報が入ったのは3月中旬のことだった。
独自候補擁立が難航し、小池氏との連携を検討していた首相が内閣情報調査室に秘かに調査を指示していたのだ。
だが、結果は首相の期待に反して、立憲民主党の女性候補にダブルスコア以上の差を付けられ、日本維新の会の女性候補にも負けていた。
乙武氏は立候補を表明する1週間も前から〝敗色濃厚〟となっていたのである。
ここから首相は一気に動いた。
首相に近い政府関係者によると、「政局の主導権を渡すまいと完全にスイッチが入った」という。
内閣支持率の低迷から抜け出せない首相が9月の自民党総裁選で再選を果たすには、その前に衆院解散・総選挙に打って出る必要がある。
そこで、これまでもたびたび言われた通常国会会期末に断行する「6月解散」にまい進し始めたのだ。
だが、自民党内では「惨敗必至」(党関係者)の6月解散には反対論が強く、麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長の2人が「阻止で結束している」(同)のは、党内では周知の事実。
補選全敗なら解散は困難になり、そのまま総裁選不出馬か、出ても敗北に追い込まれる可能性が高くなる。
そこで首相は、「麻生・茂木連合」による〝岸田封じ〟を崩すべく先手を打ったというのだ。
自民党関係者がこう説明する。
「首相は5月の大型連休後に人事刷新を断行し、麻生、茂木両氏を更迭。後半国会の焦点となる政治資金規正法改正で2人を『守旧派』に仕立て、岸田案をまとめた上で国民の信を問うという雰囲気づくりを行った。首相に加担しているのは、茂木氏への不満を募らせる浜田靖一国対委員長と小渕優子選対委員長、森山裕総務会長、首相の腹心である木原誠二幹事長代理の〝主戦派4人組〟です」
その効果はすぐに表れた。
まずは3月下旬に、麻生氏が首相に電話で「俺は総裁選で再選を支持する」と伝達。数日後の27日昼には東京・紀尾井町の日本料理店『千羽鶴』で、茂木氏を伴って首相と〝手打ち〟の会食をした。
首相は笑みを浮かべ、「結束して政権運営に当たってほしい」と要請。両氏も「この難局を共に乗り切りたい」と約束したといわれる。
また、首相は4月に入ると、派閥裏金事件の処分で、安倍派幹部を離党勧告や党員資格停止に追い込んで同派を解体する一方、萩生田光一前政調会長と、二階派事務総長の武田良太元総務相の2人を比較的軽い処分で済ませた。
さらには、茂木派の有力者である加藤勝信元厚生労働相には、橋本龍太郎元首相の次男・岳氏らを連れての早期退会を促したという。
萩生田、武田両氏は、麻生氏と対立関係にある菅義偉前首相に近い。首相は菅氏に配慮を示すことで麻生氏をけん制したと言えるが、関係者によれば「後半の国会運営や今後の政局を見据え、菅氏が持つ日本維新の会とのパイプを生かしたいとの思惑もあったようだ」という。
解散すれば自民は60議席減
また、加藤氏らが退会すれば茂木派の〝純化〟は進むものの、勢力縮小のダメージは大きい。そのため、茂木氏は政策集団への衣替えをアピールして刷新感を出そうと躍起だが、動揺を隠せない状況だ。前出の自民党関係者がこう続ける。
「首相は世論の強い逆風にさらされているが、自民党内では、ここのところ何をするか分からない首相の〝1強状態〟となっていた。3月下旬以降は、これがさらに強まった状態だったのです」
しかし、この先も岸田首相が強権を振るい続けられる保証はない。
麻生、茂木両氏が「首相支持」に転じたのは「少しでも首相をなだめて、6月解散を見送らせるため」(麻生派幹部)にすぎないからだ。
そのため、6月以降も内閣支持率が低迷し、首相が解散に踏み切ることができなければ、総裁選を前に手のひら返しで「不支持」に回るのは目に見えている。
こうした心中を裏付けるように、両氏は首相に「恭順の意」を示しておきながら、裏金事件の処分では4月5日の決定ギリギリまで安倍派幹部への処分に差を付ける首相方針に抵抗した。
また、政治資金規正法改正に関する党内議論では、仕切り役に茂木氏、議論の実務責任者に麻生派の鈴木馨祐衆院議員を充て、自民党案をいまだにまとめない〝サボタージュ〟に終始。茂木氏は衆院3補選でも、幹事長でありながら候補者選定や選挙運動に積極関与しない徹底ぶりだ。
党国対関係者によると、耐えかねた浜田氏と小渕氏は4月中旬、相次いで首相に「強烈な違和感がある」「気を使う必要はない」などと茂木氏の更迭を再考するよう直訴。首相は少し困った表情で、「もう少し見極めたい」とその場を取りなしたという。
麻生派幹部がこう漏らす。
「麻生氏の『支える』という言葉は、ある意味で本音だ。支持率が回復すれば岸田首相による解散も止めない。だが、惨敗覚悟の『やぶれかぶれ解散』だけは認めないということだ」
この場合、麻生氏が次の総理・総裁に推すのは茂木氏か、上川陽子外相のどちらかだというのは衆目の一致するところだが、先の幹部によると「やはりその中でも茂木氏だ」という。
「というのも、上川氏は総裁選の立候補要件である推薦人20人を自力で集められない。出身の岸田派内に仲間がおらず、参謀役もいない。他力本願では駄目だと麻生氏はみているからです」(同)
その点、茂木氏は準備の面で上川氏のはるか先を行っている。
2月以降、出馬に向けて茂木派内の中堅・若手と会合を繰り返す一方、首相への反発を強める安倍派の若手とも数回に分けて酒を酌み交わしている。
この会に出席した議員によると「茂木氏は『安心しろ。俺が6月解散を止めてやる』と豪語していた。『お願いします』と追従する議員もいた」という。
加えて、茂木派幹部によれば「茂木派と安倍派、麻生派で100人は固めた。党内の反・非主流派にも支持は広がっている」というのだ。
だが、岸田首相にしてみれば、こうした茂木氏の動きは「想定内」(政府関係者)のようで、首相は裏金問題の処分に合わせて内閣情報調査室に解散した場合の情勢調査も秘かに指示。安倍派約60人の当落を重点的に調べさせた。
その結果、自民党は現有259議席のうち最大60議席減で、うち40人が安倍派だった。首相は「安倍派がすべて悪い」と周囲に語り、むしろ解散で政界が刷新されるとの思いを強くしているという。
また、衆院解散総選挙で自公が過半数割れとなった場合、備えとして首相の念頭にあるのは日本維新の会との連携だといわれている。
首相は4月中旬、政治資金規正法改正について「自公維路線」で6月23日の国会会期末までに成立を図るよう、浜田氏と木原氏に指示しているからだ。
政府関係者が言う。
「菅前首相は、岸田首相に『維新の馬場(伸幸)ちゃんは、自公が過半数割れしたら連立してもいいと思っている』と伝えるなど、助け船を出している。一方、首相は維新が命運を懸ける大阪・関西万博の開幕1年前となる4月13日にメッセージを送り、予定通りの開催を後押しする考えを示した。こうしたやり取りの裏にあるのは、仮に6月の解散・総選挙で自公が過半数割れしても、自公維で連立すれば280以上の議席が見込めるという思惑なのです」
新たな情報としては、ここにきて一度途絶えたかに見えた北朝鮮との交渉が4月中旬に再開したようだ。
衆院3補選に全敗し、麻生、茂木連合に包囲網を形成されても、首相は6月解散に突き進むのか。
岸田政局は大きなヤマ場を迎えようとしている。
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