
“世耕つぶし”に財務省の影~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』
自民党の党紀委員会は4月4日、政治資金パーティーの裏金事件に関して、39人の処分を決めた。
この処分で最も割を食ったのは、離党勧告を受けた世耕弘成参院議員だろう。
世耕氏が申告した5年間の裏金総額は1542万円と、おとがめなしとなった二階俊博元幹事長の3526万円の半分以下だ。
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表向きは、参院幹事長として責任ある立場だったというのが重い処分の理由になっているが、自民党総裁というより大きな責任を持つ岸田文雄総理は派閥の会計責任者が立件されているにもかかわらず、無罪放免になっている。
世耕氏に厳しい処分が下された最大の原因は、二階元幹事長と岸田総理の間で闇取引が行われたのが、直接的な原因といわれている。
岸田総理は、政界に強い影響力を持つ二階元幹事長をどうしても引退に追い込みたかった。
それに対して、二階幹事長は二つ条件を出したとされる。自らへの処分回避と世耕氏への厳しい処分だ。
というのも、世耕氏が次回総選挙で衆院に鞍替えし、和歌山2区からの立候補を示唆していたからだ。この選挙区は二階氏の三男の立候補が噂されている。
世耕氏を離党に追い込めば、三男に勝ち目が出てくる。さらに、二階氏の長男は参院選への出馬を噂されていて、うまくいけば二階家は焼け太りになる。
このまま政治の地盤沈下が進めば…
ただ、メディアは一切報じていないが、私は世耕つぶしのもう一つの原因は、世耕氏の反財務省発言だったとみている。世耕氏は昨年10月25日の参院本会議で代表質問に立ち、「物価高に対応して何をやろうとしているのか、世の中に全く伝わらなかった」と岸田減税を批判した。
タイミングの遅さと内容の不十分さへの不満をぶつけたのだ。議場はどよめき、野党の一部からは拍手も湧いた。そもそも与党が行う代表質問は茶番がほとんどだ。
政府が推し進めようとする政策をあえて要求し、それを断行するという答弁を引き出したうえで、エールを送る。意味のない寸劇が繰り返されるのだ。
世耕氏の代表質問は、そうした慣習を打ち破り、岸田総理の不興を買っただけでなく、財務省の逆鱗に触れた。
財政緊縮を推進したい財務省は、いかに政権を守るためとはいえ、減税を打ち出した岸田総理が気に入らない。
ところが、世耕氏は事もあろうに、さらに大きな財政出動を求めている。まさに万死に値する暴挙とみなされたのだ。
ただ、財政を緊縮するのか、緩和するのかというのは古今東西、ずっと続く最も基本的な政策対立だ。
そのなかで、財政出動を主張しただけで政治的に抹殺されてしまうというのは、専制主義以外の何物でもない。
しかも情けないのは、世耕氏の対応だ。世耕氏は離党届を出すと同時に、衆議院への鞍替えと和歌山2区での立候補を関係者に表明した。自分を売った二階家への報復のためだ。
ただ、今回の政局をそうした内ゲバに矮小化してはならない。今回、36人という大量処分を受けた安倍派は、いまこそ消費税減税などの財政出動を掲げて、自民党からの分離・独立を宣言すべきだろう。
そうすれば国民による政策選択がしやすくなるし、それなりの支持が国民から生まれてくると思う。
このまま政治の地盤沈下が進めば、最後に笑うのは、財務省ばかりという事態になりかねない。それだけは避けないと、民主主義が崩壊してしまうのだ。
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