【トゲクリガニ&アイナメ】青森県八戸市/八戸港産「嬉しい外道は毛深いアレ」~日本全国☆釣り行脚
八戸といえばカレイはもちろん、型物のハゼの実績も高い釣り場ですから、つい気が急いてしまい、到着は昼すぎ。実際に釣れ始めるのは日没後なので、ちょっと早く着きすぎてしまいました。こんなときはひとっ風呂。青森県の銭湯の多くは朝から営業しており、八戸も例に漏れず。朝早いところでは早朝5時や6時に開けるお店もあり、さらには温泉銭湯も多いので、銭湯好きのワタクシにとって大変ありがたい町と言えます。
広々とした〝温泉みちのく〟でのんびりと温泉を堪能し、それでも暗くなるまではまだまだ時間が…。せっかくなので八戸港のメジャーポイント、館鼻岸壁に行ってみることにします。
着いてみると、さすがは真冬の平日とあって釣り人はほとんどいません。このまま日没まで何もやらないというのももったいないですし、ダメ元でカレイでも狙ってみることにしましょう。
投げ竿にカレイ仕掛け、エサのアオイソメをたっぷりと付けたら適当に仕掛けを投げ入れて、あとは待つだけ。今の時期は〝日中の釣れなさと夜の釣れっぷり〟が本当にハッキリしていますから、期待はせずに放置。時折エサ点検をしながら暗くなるのを待ちます。
嬉しい外道は毛深いアレ
全くエサも取られない状況が続くなか、何回目かのエサ点検で竿を煽ると、ズンッと結構な重たさです。この時期の日中でもエサを食ってくるということは、そしてこの何とも言えぬいい感じの重たさは、もしやアレでは…。念の為、外れないように定速でリールを巻き上げてくると黄褐色の塊が見えてきました。丁寧に抜き上げて無事手にしたのは、やはりトゲクリガニでした。冬から春にかけての東北太平洋岸ではカレイ釣りの外道としても馴染みの深いトゲクリガニ。ケガニと同じクリガニ科ゆえケガニ同様、味もよく嬉しい獲物です。
そういえばコイツがいたのよね。だったらもう少し真剣にやらねば…。エサをたっぷりと付けて再び投入。真剣にやるといっても、投げ込んだら放置して待つという釣り方に変わりはないので、やることは変わりません。狙えば数が釣れるというものでもなく、運任せの部分が多いトゲクリガニ。とはいえ、20~30分おきに行うエサ点検の際のドキドキ感がたまりません。何回かに1回、ズモ~ッと重たくなる心地よい重量感で3尾のカニを確保。
ぼちぼち薄暗くなってまいりました。そろそろカレイの本命の釣り場となる馬淵川河口に大きく移動しようかと、ふと岸壁先端に目をやると、よい潮目が出ているではないですか。う~ん、これは迷うなぁ。
せっかくなので「1回だけ」と自分に言い聞かせ、試しに先端部から投げてみることにします。軽く投げて仕掛けを手前に引いてくるとゴツッと感触があり、どうやら捨て石が入れられているようです。ここに仕掛けを置き、もう1本は遠目に投げて砂泥底に仕掛けを置きます。と、程なく1本目の竿先が激しく絞り込まれました。竿を手に巻き上げるとゴクンゴクンと心地よい手応えが伝わり、久しぶりの魚らしい手応えを楽しみながら上げたのは35センチほどのアイナメです。カニも楽しいけれど、やっぱり魚の手応えはいいもんですな。
ハリから外し血抜きを施してからバケツへ。そしてもう1本の竿を上げてみると、ほどよい重みで型のよいハゼが掛かっておりました。いよいよ八戸夜劇場の開幕。カレイポイントへ急がねばと、ハゼを逃がしてから急いで道具を片付け移動することにします。
さて、前述のとおりケガニ同様に旨いトゲクリガニですからコレは塩茹でに。そしてアイナメは刺身でいただいたところ、淡白な白身で美味。そしてトゲクリガニはケガニと比べても遜色なく、むしろカニの風味が濃く感じられ極めて美味。無心にほじくって食べ終え、最後に甲羅酒をクイッとやれば、これまた昇天モノの旨さです。
ダメ元でもとりあえず竿を出してよかったと、つくづく思ったのでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子どもの頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。
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