
『令和の山口組』著者:山川光彦~話題の1冊☆著者インタビュー
山川光彦(やまかわ・みつひこ) 出版社勤務後、フリーランスライター。週刊誌、書籍などの執筆と編集に携わり、2022年『週刊新潮』に集中連載した「異端のマネジメント研究 山口組ナンバー2『髙山清司』若頭の組織運営術」が話題になった。本書が初めての著書となる。【関連】『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』著者:橋本愛喜~話題の1冊☆著者インタビューほか
――山口組の歴史と現状が分かる1冊だと評判です。
山川 ありがとうございます。山口組が創設されて100年を超える歴史をもつことに驚かれる読者も多いかもしれません。中核組織・弘道会と地元が同じトヨタ自動車の前身・豊田紡織の発祥が1918年ですから、1915年に創設された山口組は、日本を代表する企業とほぼ同じ歳月を有していることになります。
――山口組には、本体以上にのれんの古い傘下組織もありますからね。
山川 幕末の大親分・次郎長の系譜を継ぐ清水一家が山口組の傘下として復活していますし、次郎長と覇を競った黒駒勝蔵の兄弟分だった元力士を初代とするテキヤ組織も現存します。
世界一分かりやすい山口組研究本
――1世紀以上も山口組が存続してきたことには、何かしら社会に根を張る存在理由があったということでしょうか。山川 いわゆる〝必要悪〟という見方があったことも否定はできないと思います。ただ、現在の山口組をはじめとする暴力団は、当局主導で近年のトレンドとなっている『暴排』の風潮の下で〝不必要悪〟として断罪され、一般社会との接点を失おうとしています。先に触れた幕末からの沿革を持つ山口組系テキヤ組織が、縁日から完全に排除される宣告を受けたことも象徴的なことでした。
――江戸時代の浮世絵には、庶民の「悪のエネルギー」への素朴な興味を反映して、ヤクザ・非ヤクザ(町奴、町火消しなど)も含めた「侠客」が画題としてたびたび登場していたほどなのに。
山川 建前が幅を利かせる表社会の息苦しさをガス抜きしてくれる存在として、ヤクザは重宝されました。それが浪曲などで脚色された幻像であったにしても、時に闇のヒーロー扱いを受けることもあったことは、『国定忠治』などの講談や時代劇、任侠映画が広く受け入れられてきたことからもうかがえます。
――それが令和の時代になり、暴排社会の完成により、現実の暴力世界でも「男になって名を上げたい」などというヤクザ的な生き方や美意識は、その内側から突き崩されました。
山川 なにしろ、体を張って喧嘩した子分が『誰が頼んだ?』と親分から面罵されるような時代です。近代ヤクザの典型とされ、〝100年企業〟でもある山口組も、ご多分に漏れず存続の崖っぷちに立たされています。社会との接点を失いつつある巨大組織の来歴と現在を通覧し、その変質に何を読み込むべきか。日本人がわれわれ自身の内なる欲望と社会変動へと目を向ける『合わせ鏡』として、本書がお役に立つことを願っています。
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