
『千と千尋の神隠し』はなぜ『鬼滅の刃』に負けたのか? 日本の映画産業が変化した“20年の歴史”を紐解く
『千と千尋の神隠し』と『鬼滅の刃』は、どちらがスゴイのか――。そんな話題が2024年はじめから、ふたたび過熱しそうだ。
2024年一発目の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)1月5日放送回で、映画『千と千尋の神隠し』が放送される。言わずと知れたスタジオジブリ・宮崎駿監督によるアニメ映画の傑作だ。
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2001年に公開された『千と千尋』は興行収入300億円を突破し、国内の歴代興行収入ランキングで頂点に立った。DVDとVHSが合わせて550万本も出荷され、03年には第75回アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞。作品性と商業性を両立した、日本を代表する作品と言えるだろう。
歴代興行収入ランキング1位の記録は、以降19年も破られることはなかった。しかしご存じの通り、2020年10月公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が興行収入400億円超を記録し、いまも歴代興行収入ランキング1位の座に君臨している。
「『千と千尋』を抜いて1位になったことで、一時は『鬼滅』に難癖をつける人も多くいました。しかし数字だけでいえば、両者は圧倒的な差があります。動員数は『無限列車編』が初日3日で342万人、『千と千尋』は一週間で227万人でした」(映画ライター)
両作品の公開時期は、約20年も離れている。時代が変われば、映画やアニメを取り巻く環境も変わるのは当然だ。『無限列車編』に関して言えば、さらにコロナ禍だったことが人気を加速させたのだろう。
「2作品の大きな違いは、配給力とスクリーン数でしょう。2020年は新型コロナで映画撮影がストップすることも多く、劇場公開を延期する作品が多かった。しかし公開にこぎつけた『無限列車編』は〝1日42回〟上映する劇場もあり、スクリーンをほぼ独占。映画館側も上映できる作品が少ないため、『無限列車編』に頼るしかない。そうして雪だるま方式に話題が話題を呼び、ロングラン上映となり、興行収入と動員数が膨れ上がったのです。もちろん、初日3日で300万人以上が劇場へ足を運んでいるのですから、もともとの期待値が高かったことも間違いない」(同・ライター)
2作品の歴史は映画産業における20年の変化を知ること
そもそも『千と千尋』の一週間で227万人動員というのは、当時の最高記録でもあるのだが…。「一般社団法人日本映画製作者連盟の発表によると、2001年のスクリーン数は2,585で内シネコンが1,259、対して2020年は同3,616で内シネコンが3,192。これだけスクリーン数が増え、シネコン化が進んでいるのです。さらに2001年当時は座席のネット予約も普及しておらず、前売りチケットも劇場やコンビニへ足を運んで購入しなければなりませんでした」(同)
この配給力やネット環境の差というのは、2作品の海外展開を見ると、さらに分かりやすいという。
「当時スタジオジブリの海外配給は、あのディズニーが担当していたのです。しかし、02年9月に北米で公開された時のスクリーン数はわずか26。一カ月後に151となりましたが、公開1カ月の累計興収は約342万ドル(当時のレートで約4億円)と苦戦しました。少なすぎるスクリーン数に、アメリカ国内で『なぜディズニー映画のように拡大公開しなかったのか?』とディズニーが批判されたほどです」(同)
一方で『無限列車編』は21年4月に北米1600館で公開され、北米興収ランキングで初登場2位に。公開2週目で同ランキング首位に輝いている。
「『無限列車編』は北米公開2週目で、上映館数が300館も追加され、2週目の週末3日間で興行収入約641万ドル(当時のレートで約7億円)を叩き出して1位になりました。この結果は、2020年12月にソニーの子会社が、アメリカのアニメ配信サービス・クランチロールを買収したことも大きいでしょう。ソニー傘下のアニプレックスは『鬼滅』などの人気コンテンツを制作していたため、海外での日本アニメ認知度が爆発的に上がりました」(同)
ジブリは海外配給をディズニーからGKIDSに変更。今年12月8日には最新作の『君たちはどう生きるか』が北米2205館で公開され、公開3日間で興収で約1280万ドル(約18.6億円)を記録し、北米興収ランキングで首位を獲得した。
2作品に共通するのは、作品の完成度が高いことであり、人々を惹きつけるからなのは言うまでもないだろう。20年間で映画産業がどのように変わったかを知るうえで、2作品を比較することは大切かもしれない。
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