グアムで最期を迎えた“神の子”山本KID徳郁をサポートしたダルビッシュ有の男気【著名人の壮絶な闘病21】
今年3月28日に死去した世界的な音楽家・坂本龍一さん(享年71)は、亡くなる数日前に家族や医師に「つらい。もう、逝かせてくれ」と頼み込むほどだったという。坂本さん以外にも、凄絶な闘病の末に旅立った著名人は多い。
〝神の子〟と呼ばれた天才格闘家・山本KID徳郁さん(享年41)が天に召されたのは、2018年9月18日のことだった。
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KIDさんは8月26日に自身のインスタグラムを通じて、ガン闘病を公表。
「私事で急なご報告となりますが、私、山本KID徳郁はガン治療のために頑張っています。絶対元気になって、帰ってきたいと強く思っていますので温かいサポートをよろしくお願いします!」とつづっていたが、それから1カ月も経たないうちにお別れとなった。
スポーツ紙の記者が言う。
「亡くなる2年前から病魔と闘っていた。どこのガンだったかは明かされていませんでしたが、消化器系のガンだったと言われています」
プロ最後の対戦相手も魔裟斗
ミュンヘン五輪レスリング日本代表の郁榮氏を父に持ち、姉の美憂さん、ダルビッシュ有投手の妻として知られる妹の聖子さんも元レスリング世界女王という格闘一家に育つ。もちろんKIDさんも元レスリング選手で、5歳のときに「全国少年レスリング選手権」に初出場し、初優勝。99年にシドニー五輪代表選考で落選し、2001年にプロ格闘家に転向した。
「KIDという愛称は、163センチ、66キロと小柄だったため、山梨学院大時代にチームメートから名付けられた。〝神の子〟は、尊敬する郁栄さんが自分にとって格闘技の神様だからと自ら名乗り始めた」(前出・スポーツ紙記者)
プロデビューすると、天性の打撃センスと爆発的な瞬発力で連勝を重ね、〝神の子〟の名にふさわしいカリスマ性を発揮。格闘技全盛期の04年大みそかにはキックボクシング界のカリスマ・魔裟斗さんと対決した。
双方ダウンを取り合う壮絶な展開で、瞬間最高視聴率31.6%をマーク。結果はKIDさんの判定負けだったが、この試合は「伝説の一戦」として今も語り継がれている。
「魔裟斗さんとは、15年大みそかに再戦していますが、以降は負傷や闘病生活が続き、KIDさんがプロのマットで戦ったのはこれが最後になりました」(同・記者)
私生活では2度の結婚を通じて4人の子どもの父親。KIDさん一家は、マスコミの目を逃れて療養生活を送るためにグアムで暮らすことを決断したが…。
「その頃には、すでに普通の飛行機には搭乗できないほど病状が悪化していたそうです。そこで、義弟のダルビッシュが医療用のチャーター機や主治医の手配、滞在先の家や車まで用意。それ以外にも、金銭的なサポートを続けたと後に明かしています」(同・記者)
最後まで復帰を信じて闘病を続けたKIDさんだったが、帰国は叶わず、グアムで姉の美憂さんら家族にみとられ、息を引き取った。
実は、美憂さんは弟の病名を知ってからプロの総合格闘家になることを決意。KIDさんをコーチにして41歳でプロデビューを果たす。
当初の戦績はふるわなかったが、弟の死から12日後の試合で、一度はKO負けしていた強敵に判定勝ち。亡き弟に捧げた一勝だった。
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