
国民の生活を改善する減税とは~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』
岸田総理が「減税」をアピールし始めている。ネット上で拡散する岸田総理のあだ名が「増税メガネ」から「増税クソメガネ」に強化されていることを気にしているからだという。
10月に取りまとめる経済対策の5つの柱のなかにも「成長力強化に向けて賃上げ税制の減税制度の強化」「特許などの所得に対する減税制度の創設」「ストックオプションの減税措置の充実」が盛り込まれている。しかし、これらはすべて大企業や富裕層向けの減税であり、物価高に苦しむ国民生活を改善するものは一つもない。
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そのため岸田総理は、新たに住民税非課税世帯への給付を検討していると報じられている。コロナ禍で行われた給付金と同じ仕掛けだ。もちろんやらないよりはマシだが、住民税非課税世帯は1218万世帯で、全世帯に占める比率は24%にすぎない。しかも年金世代に集中していて、現役世代はほとんどメリットを受けられない。
なぜ現役世代の生活を改善する政策を打ち出せないのか。理由は明白だ。岸田総理は財務省に完全に籠絡されていて、大きな財源を必要とする国民全体への減税は、財務省の「教義」に反するからだ。
ただ、かすかな希望の光が見えてきた。自民党の若手議員102人で構成する『責任ある積極財政を推進する議員連盟』が10月4日に政策提言をまとめた。そのなかで、物価高対策として消費税を時限的に5%へ減税することを求めたのだ。
アベノミクスが残した成果
さらに、議連の中村裕之共同代表は、食料品など8%の軽減税率が適用されている商品については、時限的に消費税率をゼロにする案も示した。中村共同代表は、「根拠のない財政破綻を恐れ、大胆な財政出動をためらう余裕は残されていない」と危機感を示したのだ。議連の主張は、極めてまともなものだ。なぜまともな議論が出てくるのかというと、財務省の「ご説明」という名の布教活動が十分行き届いていないからだ。ただ、自民党の長老議員を中心とする主流派は、相変わらず財政緊縮路線で、自民党主導で消費税減税が実施されることはないだろう。ただ、野党も変わり始めている。
9月28日に、日本共産党が「経済再生プラン」を発表した。プランの財源提案の考え方では「借金が多少増えても、経済が成長していけば借金の重さは軽くなっていきます」、「暮らしを応援する積極的な財政支出によって、健全な経済成長をはかり、そのことを通じて借金問題も解決していく」と、緊縮財政論批判を取り入れたのだ。共産党は、これまで税収の範囲内に歳出を収める財政均衡主義の考え方を採ってきたが、一時的な財政赤字を許容する方針に転じたのだ。
もちろん、自民党の積極財政議連や共産党も恒常的な財政赤字を出し続けてよいというところまでは、踏み出していない。現実には、インフレが高進しない範囲内で財政赤字を出し続けることは可能だ。
アベノミクスが残した最大の成果は、20年度に80兆円もの基礎的財政収支赤字を出したが、インフレも国債暴落も起きなかったという事実だ。消費税を全廃するのに必要な財源は30兆円だ。80兆円の赤字で大丈夫だったのだから、30兆円はまったく問題ないのだ。
ただ、とりあえず一時的な赤字なら許容できるところまで与野党の理解が進んだことは、朗報だろう。
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