まさかの自滅でロシア崩壊!? “最後の皇帝”プーチン大統領に迫る終幕とは
ロシアのプーチン政権が弱体化している。ウクライナ侵攻で国際社会から孤立し、味方は中国と北朝鮮ぐらいしかいなくなった。旧ソ連諸国への抑えも利かなくなっており、四半世紀近く君臨してきた〝皇帝〟プーチン大統領の身辺は、1991年の旧ソ連崩壊時に似た状況となっている。
9月13日に北朝鮮の金正恩総書記をロシアに招いたプーチン大統領だが、10月には中国の北京を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を開く予定だ。
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ウクライナに対する戦争犯罪の疑いで、国際刑事裁判所(ICC)から今年3月に逮捕状が出て以来、〝お尋ね者〟のプーチン氏が外遊するのは初めてのこと。中国はICC非加盟国で逮捕される心配がないため、北京行きを決めたとみられるが、8月に南アフリカで開かれたBRICS(新興5カ国)首脳会議や9月にインドで開かれたG20(20カ国・地域)首脳会議は欠席していた。
ウクライナ侵攻直前の2022年2月、北京冬季五輪の開会式に出席して習氏と会談したプーチン氏だが、その後、両者の立場は大きく変化した。
「以前は対等な関係だった習氏とプーチン氏だが、ウクライナ侵攻で疲弊し、ロシアの地位は日に日に低下した。兵器が枯渇し、国内経済もじり貧になっていることで、プーチン氏には救済を求める狙いがある。習氏が重要視する巨大経済圏構想『一帯一路』の関連会議に合わせて訪中することで、ロシアは中国の事実上の属国として、習氏の軍門に下ることになる」(大手紙外信デスク)
国際的な地位の低下だけでなく、プーチン政権の足元も大きく揺らいでいる。プーチン氏は2000年の大統領就任以降、国内の反体制派や政敵を次々に追い落としただけでなく、旧ソ連の構成国も抑え込んできた。だが、その威光が通じなくなっているのだ。
9月19日にはアゼルバイジャンが、隣国アルメニアとの係争地「ナゴルノ・カラバフ自治州」で軍事作戦に着手。アルメニア人系勢力は少なくとも200人が死亡し、事実上の降伏に応じた。同州の帰属争いは30年以上にわたって続いており、20年に発生した紛争で停戦を仲介したのはロシアだった。
「ロシアはアルメニアの同盟国として停戦維持部隊を派遣していたが、アゼルバイジャンの攻撃を防ぐことができず、影響力の低下があらわになった。5月にモスクワでアゼルバイジャンとアルメニアの両国首脳が協議を行った際、プーチン氏の面前で双方が口論する場面があり、同氏が以前ほど怖がられていないとの認識が西側諸国で強まっている」(安全保障当局者)
国力をすり減らしソ連は91年に解体へ…
アルメニアは旧ソ連6カ国で構成する軍事同盟の集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟しているが、9月には米国と合同軍事演習『イーグル・パートナー』を実施するなど、西側に歩み寄っていた。旧ソ連の構成国では、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5カ国も不審な動きが目立つ。5月に中国主導の『中国・中央アジアサミット』に参加。一方、9月には米国のバイデン大統領が、中央アジア5カ国との協議の枠組み『C5プラス1』による初の首脳会議をニューヨークで開催した。かつては「ロシアの裏庭」と呼ばれた中央アジアも、今や米中の草刈り場となっている。
西側の情報当局者の間では、ロシアの現状を旧ソ連が崩壊していく過程と重ね合わせる見方が多くなっているという。
第二次世界大戦後、米国に匹敵する超大国として、東西冷戦下で覇を競ってきたソ連は、79年12月のアフガニスタン侵攻をきっかけに変調をきたしていく。
圧倒的な兵力により優勢とみられていたソ連軍に対し、『ムジャヒディン(聖戦士)』と呼ばれるイスラム系ゲリラ組織が猛烈に抵抗。米国が兵器の支援を行ったこともあり、ソ連軍は想定外の苦戦を強いられた。国際的な非難を浴びたゴルバチョフ書記長が、89年までに全部隊を撤退させたものの、国力をすり減らしたソ連は91年に解体へと至った。
プーチン政権のウクライナ侵攻も、当初、ロシア軍は短期決着をもくろんでいたが、思わぬ反撃を受けて泥沼化し、いまだ停戦のめどは立っていない。
欧米などのメディアは8月、ロシア政府が23年の国防予算を9兆7000億ルーブル(約14兆3700億円)にほぼ倍増したと報じた。23年の上半期だけで5兆5900億ルーブル(約8兆2800億円)の戦費を投入し、今年当初の国防予算をはるかに上回っていたという。
「2000年の大統領就任以来、プーチン氏は〝ロシア帝国〟の復活という狂気に近い信念を年々強めてきた。来春の大統領選出馬へ準備を進めているが、米国や旧ソ連の構成国はプーチン体制を維持するのか転覆させるのか、どちらのリスクが少ないかを検討しているとみられる」(前出・大手紙外信デスク)
〝ラストエンペラー〟の命運は尽きるのか。
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